『関わり合い』になじむための補助として


今、自閉症児への治療薬としてオキシトシンの点鼻スプレー薬の研究がされていて、効果や副作用などの情報をあちこちで見かけます。


錯乱やめまい、喘息やじんましんなどのアナフラキシー症状、けいれんなど。

「他人に対する警戒心がなくなることで、詐欺にあってお金をだまし取られた」というケースも耳にします。


『薬』についていつも思うのが、「薬を飲めば解決する(治る)」「薬を飲めば楽になる」と、過剰な期待を寄せてしまう方がまだまだとても多いということ。

『(その症状を緩和するのに)効く薬』があるのだから、と、薬に頼ってしまう。

でも薬は慣性が付くので、初めは効果がよく目に見えていた薬でも、徐々に効きが悪くなり、どんどんと用量を増やしたり強い薬に切り替わったりと、いたちごっこに。


自閉症の方だと、体に触れられることに対して抵抗が強い場合もあるかと思います。

なので、オキシトシンが有効ではないかと期待されているのですね。

でもここで、二つのケースが考えられます。

本来、皮膚に触れることで分泌されるオキシトシンが、「触れられることへの抵抗から(触れることができないことで)」分泌が足りないケースと、「分泌する機能自体に問題がある」ケース。


『人は皮膚から癒される』(草思社発行)の著者である山口創先生が言うように、タッチセラピーで皮膚感覚を拓くことで、体内からのオキシトシン分泌を促し、『皮膚感覚異常』という、症状の改善を図ることが有効だと考えられています。

触れられる刺激で神経線維が発達し、感情や学習能力が豊かになる。ミラーニューロンという、他者との共感に深くかかわる神経細胞の発達を促すこともできると、山口先生は述べられています。


先に挙げた2つのケースなら、前者は、低用量の薬剤で抵抗感を緩和されたうえでタッチセラピーを施し、『触れる』ことになじんでもらう。

取り掛かりの補助として薬剤を使い、触れることに馴染み、皮膚感覚が改善されれば、あとはふれあいの中から自分の体内で分泌することが可能になると考えられます。

それなら、副作用のリスクを抱えながらいつまでも薬に頼る必要はありません。


後者であれば、継続的な使用もやむを得ないのかもしれませんが、それにはやはり、「何度も試したけど、タッチセラピーが有効ではなかった」という結論に至ってからがよいのではないでしょうか?


「人が安心できる触れ方」というのがあります。

ユマニチュードやタクティールケアなどのタッチセラピーを教えてくれるところも増えています。


『共感覚を得る』こと自体ができるようになる薬はありません。

また、副作用のない薬もありません。

薬というものをあくまで『補助として』上手に使い、付き合ってゆくといいのかもしれませんね。


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